【ワイン・映画】『レミーのおいしいレストラン』の中でのワイン

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こんにちは、ゆうゆうです。

 

今回は、2007年に上映されたピクサー映画、

レミーのおいしいレストラン』に登場するワインと作中での役割について考察していきます。※以下ネタバレを含みますので、その旨同意の上でお進みください。

 

考察したい登場するワインは、シャトー・ラトゥール1961シャトー・シュヴァル・ブラン1947の二本です。

 

 

レミーのおいしいレストラン』とは?

 

 

 ご覧になった方も多いでしょう。ネズミが調理するレストランでのお話。

不衛生だ、という意見はあると思いますが、この作品面白いです。

フランスを舞台に人間とネズミのダブル主人公が、<友情>と<勇気>で<未来>を切り開く物語です。

 

シャトー・ラトゥール1961とその役割

シャトー・ラトゥールは、ボルドー五大シャトーの一つで力強く男性的とされ、世界的に最も有名なワインの一つと言えるでしょう。エチケットには塔の上にライオンが描かれていて格好いいです。作中のヴィンテージである1961年は特に最高の出来とされているそうですね。いつか飲んでみたいです!

 

さて、この偉大なワインが登場したのは、作品の中盤で人間の主人公『リングイニ』と上司の料理長が話をするシーン。

料理長はリングイニから様々なことについて聞き出そうとしています。

そこで料理長がリングイニに飲ませたのがシャトー・ラトゥール1961でした。

状況から「いい気分に酔わせて色々しゃべらせたいから」と推測できますが、それだけの理由ならば偉大なシャトー・ラトゥールを出す必要はないのではないでしょうか。

 

私の考えを述べます。

「料理長が自分に威厳や自信を持たせたかったから」です。

キーワードは「性格」と「ライオン」です。

 

まず「性格」。

料理長について、作中の威張る・高圧的な場面からは自分を強く見せようとする性格が。外見の低身長や遺書についてひどくおびえている様子から、実は自信が無いといった性格が考えられます。

しかし、部下に話を聞きだす際に自分が気持ち的に弱い状態ではいけませんよね。

そこで、リングイニに対し、料理長は自分のことを強く見せる必要がありました。

 

そこでシャトー・ラトゥールの「ライオン」の出番です。

ライオンのシンボルには、強い欲望や勇気・勝利などの意味があるとされているそうです。このライオンの持つ、自分を強くし、勝利へと向かわせるイメージは、きっと料理長に自信を与え、まるで自分が強くなったかのような感覚を抱かせたことでしょう。

 

以上のことから、自信の無い不安な料理長は、自分を大きく見せるために、力強いシャトー・ラトゥールの素晴らしいヴィンテージを用いたのではないでしょうか。

 

シャトー・シュヴァル・ブラン1947とその役割

シャトー・シュヴァル・ブランはサン・テミリオンの格付けの頂点に位置する偉大なワインの一つです。また、長期熟成できる点の他に、ボルドー五大シャトーよりも高い価格で取引されることもあるという特徴があります。

 

さて、このワインが登場するのは作品終盤。新しく料理長となったリングイニの料理を食べに来た批評家が、<可能性・未来を感じる料理に相応しいワイン>としてオーダーします。

 

シャトー・シュヴァル・ブラン1947の役割は、この批評家の言う、

未来の「可能性」を示すこと

だったのではないでしょうか。

シャトー・シュヴァル・ブラン1947と作品終盤の主人公達を見ていきましょう。

 

先程述べたように、シャトー・シュヴァル・ブランは長期熟成でき、ボルドー五大シャトーよりも高値で取引されることもあります。特に1947年のものは100万円出してもまだまだ手が届かないほどです。

素晴らしいワインの特徴の一つかと思いますが、長期熟成させたワインは価格の上昇が示すように、香りや味わいなどが複雑になるなど価値が上がり、より偉大なワインになる可能性を秘めていると思います。

長期熟成を経て、非常に高価なシャトー・シュヴァル・ブラン1947はまさに「可能性」を感じさせるワインの一つと言えそうですね。

 

では、主人公達はどうでしょうか。

主人公のネズミ『レミー』は、作品の前中盤では料理できるすごいネズミでした。

終盤ではなんと実質的に料理長になっていきます。

主人公の人間『リングイニ』は、作中通して料理は全くできません。

しかし、終盤、ウェイターとして覚醒します。ローラースケートを履いて、店内を駆け回る姿には驚かされましたね。それでいてワインをこぼす、料理を揺らすなどは一切ありません。最初からウェイターやっていればよかったのに、と思うレベルです。

最後には主人公たちは独立して、行列が出来る大人気ビストロを開いています。

作中で、時間をかけて成長し、自分たちの未来を切り開いた彼らからも「可能性」を感じることができそうです。

 

以上から、長期熟成しさらに偉大になっていく「可能性」を示したシャトー・シュヴァル・ブラン1947は、主人公たちが持っている成長の「可能性」を意味していると言えそうです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は『レミーのおいしいレストラン』に登場するワインの、作中における役割について考察しました。どちらも非常に高価で偉大なワイン。私も成長し、自分の「可能性」を示すことが出来た際には、是非、シャトー・シュヴァル・ブランを味わいたいと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。ゆうゆうでした。